若女将がほぼ一人で運営する岡ホテル公式ブログ。
日々のこと、岡ホテルの歴史、金沢の耳より情報などいろいろ発信していきます。

泊まると暮らすのあいだ 第一話 


ビジネスホテルといえば、カードキーが定番となった今も、岡ホテルのフロントの内側には細かく区切られた木製の造作棚があり、そのひとますごとに各部屋の鍵が収納されている。チェックアウト用のキードロップボックスがあり、出発の際にはそこに鍵を入れてもらうことになっているが、慣れた宿泊客は、カチャンとフロント台に鍵を置き、「いってきまーす」と言って外出する。

 

あの人は今日も仕事行ったな。あれ?この部屋は平日なのに鍵がないな、体調でも崩してるかな?そんなことを思いながら、ガシャン、ガシャンと1本ずつ棚に戻す。

このホテルの鍵は、階ごとに違う色のキーホルダーがついている。エンジ色、黄色、緑、紺、紫。そう、加賀五彩というベタな配色を嫁に来たばかりの頃に思いつき、替えたのだった。でも50部屋分もの鍵を番号だけで見分けるのは時間がかかるから、階ごとに色を変えたのは正解だった。問題は紛失した時にその分を注文するととてもコストがかかるのだ。こればっかりは悩ましく、現に違うキーホルダーが付いている部屋が2つ混ざっている。

 

鍵といえばこんな事件もあった。ついさっき玄関で見送ったはずのお客様から電話があり、「もう新幹線に乗るところなのに鍵を持ってきてしまった」という話だった。九州に到着してから送ってもらう?それとも・・・いや、走るぞ!大急ぎで目と鼻の先にある金沢駅の改札へ走った。多分1分半くらいでついたと思う。息が切れる前に改札が見えてきた。なんとか紺色のキーホルダーがついた鍵を受け取り、一件落着した。


自動ドアが開くと共に「キンコン キンコン」とアナログな鐘がなった。17時を過ぎ、みんなが戻ってきた。「ただいま〜」とちょっと疲れた顔で帰ってくるお客さん。「おかえり〜!今日も寒かったね、お疲れ様!」と、部屋割り表を見ることもなく鍵を手渡しする。

 

今日も岡ホテルには、泊まると暮らすのあいだの時間が流れる